夏のひととき、家族一緒に夢の世界を楽しんでみてはいかがだろう。現実の世界と死後の世界を行き来する少女にスポットを当てたファンタジックな赤川次郎原作のミュージカルで、開演前に劇場ロビーには身長3メートルの高足ピエロ、こびとの少女がハンドベルを鳴らし、その間を魔法使いや魔女が音もなく貴方に擦り寄ってくる、、、。

ビックリして座席に駈け込むと暗い舞台では、マジシャンや道化が次々とパホーマンスを繰り広げる。いつの間にかもう開演していてイルミネーションがきらめく夜の遊園地になっている。

              

超常現象に憧れる少女・ピコ(樋口麻美)は、夢の配達人(味方隆司)と出逢い、彼の薦めで閉園後の遊園地に入った。ピコは初めて夜の遊園地なので周りを見渡しビックリの連続。

ここで少女マコ(苫田亜沙子)と知り合いになった。実はマコはこの世の人ではない。幽霊なのだ。彼女は交通事故で急死したので、母親(白木美貴子)と別れの言葉を交わさなかった。

これを苦にしていてもう一度人間界に戻って、突然の我子の死を嘆く母親を慰めたくてピコに「一日だけ自分と入れ代わって欲しい」と頼み込んだ。そんな理由があったからマコは、霊界にも行けずさまよっている時ピコと出逢ったのだ。

冒険と義侠心が強いピコは、自分がマコの身替りとして霊界へ行くのを了解した。

ここは霊界空港の待合室。新任の役人・デビル(道口瑞之)が、“光の国”行き搭乗者のチェックをエンジェルら共にする場所だ。

“光の国”に行くには白いパスポートを持った者しか行けない。生前に犯罪を犯した者や人を苦しめた者たちにはグレーのパスポートしかもらえず、白いパスポートをもらうためには働きながら罪の汚れを落とさなければならない。

真っ白いパスポートを持つ老人(山口嘉三)は、12年も妻(斉藤昭子)をここで待ち続け、災害や戦争の犠牲者になったこどもたちは、白組だ。

一方グレーのパスポート組は、いじめを苦に自殺したメソ(有賀光一)、家族を顧みず過労死した部長(田中廣臣)、バイク事故で死んだ暴走族(韓盛治)、ケンカで刺し殺されたヤクザ(野中万寿夫)も前世を悔いるがやはりグレー組だ。

いよいよ明日は、年一度の“光の国”行きのロケットが出発する日だ。ピコはパスポートを入れたバッグをメソに預けてロケットを見物にいっている隙に、メソは自分のグレーのパスポートとピコの真っ白いのとをすり替えてしまった。

これを持ったメソは、あやしまれずゲートをくぐってしまった。その直後戻ってきたピコはデビルからパスポートの提示を求められバックを開けるとパスポートは真っ黒になっていた。彼の犯した罪の重さからこうなってしまったのだ。

これを見たピコは、「マコが地獄に落とされてしまう」とショックで気絶してしまった、、、。

              

ショックから立ち直ったピコは部長、暴走族、ヤクザ(それぞれが生前の衣裳で)の話を聞きながら自分がマコと入れ代わったのだと説明する。デビルはメソを締め上げるが、一度使ったパスポートは、元に戻らない。

さあ、どうしよう。メソは自分がやった罪を悔い、ピコを助けてほしいとデビルに懇願すると、デビルは前例のないパスポートの再発行を決断した。

ところがマコの住所が分からない。さあ、大変ロケットの出発時間は迫っている。この空港にいる者たちが「マコの住所」を目を皿のようにして探す。あったー!

ピコは新しいパスポートを持って再会したマコ母子のもとへ急ぎ、あっという間に入れ代わり、ピコはいまの世界へ、マコは“光の国”へ旅立って行った。

一人残ったピコは、不思議な、不思議な夢を見たようだった、、、。

観ていて心がなごむミュージカルで、ピコの樋口、マコの苫田(私が観た日)の演技が好演で、デビルの道口の男義が印象的だ。
夢から醒めた夢

オリジナルミュージカル

03-5776-6730 

日祝休

原作

赤川次郎   

樋口麻美、苫田亜沙子/花田えりか、白木美貴子、有賀光一/飯村和也、道口瑞之、
藤原大輔/有賀光一、野口万寿夫、韓盛治、田中廣臣、味方隆司、ほか

浅利慶太  

劇場

四季劇場〔秋〕

劇団

四季   

8月9日まで  

台本

左 苫田亜沙子 右 樋口麻美  

浅利慶太 

奈良和江

撮影:上原タカシ  

出演

開演前のロビーには続々魔法使いやハンドベルを鳴らすこびとたち、魔女も貴方のそばへ忍び寄ってくる、、、。