北朝鮮がミサイルを打ち上げたり、GMが破産したとか、国内ではインフルエンザでマスクが売り切れ、殺人事件は相次ぐ、鉄道は“人身事故”で遅延、、、。梅雨空みたいに重苦しい昨今。なんとかこのうっとしさをぱっとはね除けるものはないか、、、、と探したらありました。
いま下北沢の本多劇場で上演中のコメディ「パパ、I LOVE YOU!」は、腹をよじって笑い、観終わると何だか心が浮き浮きするような作品だ。それでは皆さんと期待しながらロンドンのセント・アンドルーズ病院へ行ってみよう。
今回は加藤健一が主演、演出と健一の長男・義宗が息子役で出演しているのも見どころの一つだろう。
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場所は病院の医師用の談話室。室内はクリスマスを3日後に控え、クリスマスの飾り付けやツリーも立って、壁の上部には時計が10時45分を指している。毎年恒例の医師たちの余興もあるので、スタッフはみんなウキウキしている。
その中でただ一人「それどころではない男」がいる。彼の名前はデーヴィッド(加藤健一)という同病院の神経科医だ。
今日は世界各国から200人の神経科医が集まる記念講演で、スピーチをしなければならない。もし上手くいけば,将来は医学部長やサーの称号も貰えるので、真剣そのもので原稿を覚え切ってしまおうと部屋のデスクにかじりついている。
そんな時に同僚で独身の医師・ヒューバート(村田雄浩)が顔を出しどうでもいいような世間話を始めた。また若い医師・マイク(坂本岳大)や婦長((枝元萌)も部屋をガタガタ出入りするので、デーヴィットは集中出来ず、イライラ、不安でドキドキ。神経安定剤でも飲まなければやっていけそうもない状態だ。
講演には病院の理事長サー・ウイロビー・ドレーク(山野史人)も出席する。さらにまだある妻のローズマリー(一柳みる)も、夫の一世一代の晴れ姿を見にくるというから血圧も高くなる一方だ。
そこへ突然かつてこの病院で看護婦をやっていたジェーン(日下由美)が18年ぶりに重大発言をするために現れた。デーヴィットが若かりしころ、ジェーンと深い仲になり、排水タンク室でなにをなにしたことがあった。
その重大発言の中身は彼女が、デーヴィッドの子供を産み、名前はレズリーであること。ジェーンは18歳になったレズリー(加藤義宗)に、「あなたの父親は、いまもセント・アンドルーズ病院に勤めている」と言ったものだからレズリーは、この病院へ初めて見る父親を探しにやって来たのだ。
ビックリしたのはデーヴィッドで、そんなアホな馬鹿な!12時の講演時間は迫っているし、妻のローズマリーは来ているし、こんなことがバレたらどうしよう。デーヴィッドの頭の中は、グチャグチャ。人生最大のピンチに立たされた、、、。
血相を変えたレズリーがこの部屋が顔出す。そのスタイルは、ジーンズ、Tシャツ、デニムのジャケット、パンクのヘア。とっさにデービッドは彼の入室を止めようとしたがきかない。
彼はここに来る時酒を飲み、無免許、スピード違反で、警官(福島勝美)に追っかけられていたのだ。これに気が付いた母親のジェーンが追いかけて来て、かつての恋人・デービッドに18年ぶりのご対面になったのだが、、、。
レズリーに身分を聞かれたデービッドは「私はリハビリ中の患者で、痛風といぼ痔を患っているが事務を手伝い、牧師でもある」とウソをついてしまった、、、。この一言のウソがさらにウソを呼んで雪だるまになってしまった。
自分が父親であることが分かりかけた時、部屋に入ってきたヒューバートに指を差し「彼が“父親”だ!」と言ったものだから「パパに逢いたかった!」とヒューバートはレズリーに抱きつかれ目を白黒。彼もこの事件に巻き込まれ、父親役を演じることになるのだが、、、。
マイクに婦長(枝元萌)、車椅子の患者ビル(石坂史朗)、それにヒューバートの母親(かんのひとみ)が、息子のためにクリスマスの贈り物を持参と多士済々?のメンバーが登場、爆笑の渦をつくる。
講演時間は刻々迫り、ウイロビーが何回も急がせたが、父親騒動は収まらない。ああー。デーヴィッドはついに崖っぷちに立たされた。
それからどうした?急かせないで!デーヴィッドの身にもなってみて。みんな若き日のアバンチュールはあるはずだ。果してデーヴィッドは講演時間に間に合うのか?医学部長のポストは?サーの称号は?レズリーは本当の父親を見つけだすことが出来るのか、、、。
たぶん加藤健一事務所に電話してもどうなったかは、教えてくれないだろう。やっぱり本多劇場まで行かなくちゃ。
加藤健一と村田雄浩は初顔合わせで、コメディではちょっとしたタイミングのずれが、面白さを半減させてしまうが、さすがベテランの村田を起用しただけあって二人の呼吸が絶妙だ。
加藤の長男・義宗のレズリーも健一にしごかれたせいか、いかれた中にも死んだとばかり思っていた父親へ情愛が色濃く出ていて、楽しみな俳優に育っていくだろう。

レイ・クーニー
03-3557-0789
小田島雄志/小田島恒志
6月19日 兵庫県立芸術文化センター、21日 所沢市民文化センター





加藤健一
左から福島勝美、石坂史朗、村田雄浩、加藤健一
撮影:石川純
加藤健一、村田雄浩、日下由美、加藤義宗、福島勝美、かんのひとみ、
SHOWTA、石坂史朗、坂本岳大、枝元萌、一柳みる、山野史人
本多劇場
加藤健一事務所
6月14日まで