俺は、君のためにこそ 死ににいく

5月3日まで   

03-3208-8051

出演
脚本
原作

石原愼太郎   

劇場

野伏翔   

紀伊國屋サザンシアター  

石村とも子、佐藤仁哉、志賀守、荒川智大、榊原仁、網本圭吾、佐羽英、山田健太、杉本輝昭、 森田和正、
落合順、屋良学、中州和秀、山前麻緒、神崎里奈、松本永倫子、山崎尚子、ほか

今から64年前の昭和20年、鹿児島県の南端の町、知覧町に陸軍航空隊の基地があった。ここは特攻基地で250キロの爆弾を抱えて沖縄の米軍艦隊に体当たり攻撃をするため436人の若き将兵が飛び立っていった。物語は基地のそばで陸軍指定の食堂を営む女将と特攻隊員との触れあいを心温かく伝える内容だ。

昭和19年、日本軍は米軍にサイパンを落とされ、劣勢を盛り返すには、もはやパイロットが爆弾とともに敵艦を沈める作戦しか残されていなかった。

大西瀧治郎海軍中将(佐藤仁哉)は、特攻作戦を指令した。選ばれたのは関行男海軍大尉(杉本輝昭)で、続いて陸軍航空隊も参加しだした。

しばらくたった昭和20年の6月、ここは知覧陸軍特攻基地。内地の大きな都市は空爆で焼け野原になっていたが、知覧基地は毎日のように沖縄にいる米軍艦隊を沈めようと特攻機が飛び立っていった。

そんなある日、富屋食堂に中西正也少尉(志賀守/荒川智大)に引率された隊員たちが、やってきて女将の鳥濱トメ(石村とも子)に美味しい食事を頼んだ。

2、3日経てば彼らはもうこの世の人ではなくなるので、トメは自分の着物と交換で焼酎を購入、ふるまうのだった。だが出撃したものの機体の整備不良でやむなく引き返してきた者への上官はひどい仕打ちをする。

「なぜおまえは帰って来たのだ!」「おまえのいる場所はない!」

また憲兵が来て理不尽な仕打ちをする。その間の安らぎは、知覧高女たちの献身的な奉仕がある。だが米軍の機銃掃射で教師や生徒もその犠牲になってしまう。

家族が最後の面会を求めてやってくる者もいる中でいよいよ中西隊に出撃命令が下る。軍の検閲を嫌いトメに遺言状や大事にしていた物を託すが、憲兵に見つかりきつい取り調べ受けるが、隊員たちのすけっとでなんとか切り抜ける。

中西隊に信州出身で絵が上手い河合惣一軍曹(山田健太)いるが、トメに「死んだらホタルになって帰ってきていいかな、、、」といいながらトメと最後の言葉を交わす。

そしてトメや長女の美阿子(山前麻緒)、次女の礼子(神崎里奈)、高女の生徒たちが手を振る中、特攻機は南の空に消えていった。彼らが出撃していった後、夜になった富屋食堂。この辺では見られない大きなホタルが、トメのところへ吸い寄せられるように飛んで来た、、、。

この芝居を観ていてなんと無謀で酷い“特攻作戦”を陸海軍は強行したのだろう。若い青年の命をもぎ取った軍の上層部の責任ははかり知れない。

いまや日本とアメリカが戦争したことすら知らない若者が増えて来た。戦後60有余年、戦争に巻き込まれることがない時代を経てきたが、これも先人たちの血と涙で築かれたものだ。

戦争を知らない人にぜひ観てもらいい作品だ。

夜想会主宰の野伏翔さんは「大事な日本の平和の礎になってくれた人たちへの感謝の気持ちが一杯で、上演に踏み切りました。これからもこの作品をできるかぎり上演していきたいですね」と語っていた。

劇団

夜想会