目次
演出
訳
作
劇団
出演
問い合わせ
劇場
ミセス・サヴェッジ

吉祥寺シアター  

文学座9月アトリエの会

ジョン・パトリック  

安達紫帆  

上村聡史  

吉野由志子、藤堂陽子、山崎美貴、太刀川亞希、藤崎あかね、 
松岡依都美、斎籐志郎、大滝寛、中村彰男、粟野史浩、助川嘉隆 

9月22日まで  

03-3351-7265(10〜18時/日祝除く)  

左から吉野由志子、山崎美貴、中村彰男、斎籐志郎
        

撮影:飯田研紀  

文学座は現在信濃町のアトリエがリニューアル中なので、吉祥寺の吉祥寺シアターで、映画「八月十五夜の茶屋」(京マチ子も出演)の脚本で知られているジョン・パトリック作。日本では初演で、母親の大金を手にしようと子供たちがてんわやんわする人情喜劇「ミセス・サヴェッジ」を上演している。

              

第二次世界大戦が終わって5年経ったアメリカ東部のマサチューセッツ州にある、とある施設「クロイスターズ」が舞台。豪華なサロンはホテルみたいだが、違うところは窓には鉄格子がはまり、入居者が出られないように職員は自分がドアにガチャリと鍵を閉める。

それでは入所者を紹介しよう。この中で一番若く、なんにでも首を突っ込む陽気なフェアリー(藤崎あかね)、乗っていた飛行機が墜落、顔に怪我をしてその後遺症を気にするジェフ(助川嘉隆)、年は28歳ぐらいで優しく、人に喜ばれることが大好きなフローレンス(太刀川亞希)。

血色も肉付きもいい30歳のハニンバル(粟野史皓)、絵を画くのが好きで、人とは口をきかず、電気をすぐもっいないと消してしまい後でえらいことになるミセス・パディ(藤堂陽子)らがここの施設で暮らしていた。

今日はここへ大富豪の女性が入所して来るので、みんなそわそわ落ち着かない。ここへ職員のミス・ウイリー(松岡依都美)がやって来てみんなの相手をするが、ドクター・エメット(大滝寛)から電話があって、ドアの鍵を閉めて出ていった。

それから間もなくしてミセス・サヴェジの息子、娘の三人がサロンに入ってきた。長男で上院議員のタイタス(斎籐志郎)、長女で6回の離婚歴があり自惚れが強く、今日で40歳になったリリー(山崎美貴)、判事をしているが、兄と姉のプレッシャーに埋もれているサミュエル(中村彰男)。

この三人は母親を心配して遠くから駆けつけたのだが、、、。もっと大事な用件を秘めて、、、。

ミセス・サヴェジを問診して現れたドクター・エメットに、母親のことをボロクソに言い出し、実の母親ではないことまでもべらべら、があがあしゃべりだした。

             

ようやくみんなが待っているサロンにミセス・サヴェッジ(吉野由志子)が、大きな縫いぐるみの熊を抱いて入って来た。舞台写真を見て貰いたい。この片目の縫いぐるみのクマさんが大きな役を演じるがそれは後で、、、。

うるさい子供たちがまた、一週間後にくるからと言って引き揚げた後、サヴェッジがなぜこの施設に来たかという事をここのメンバーにしゃべった。

その内容は、主人の功績を記念してお金を贈る「ジョナサン・サヴェッジ・メモリアル基金」を設立しようと彼女が遺産相続した1000万ドルをこれに全部つぎ込んでしまおうとしていたのだった。

ビックリした子供たちは金が欲しいからなんとか止めさせ分配にあやかろうとしていたのだ。こんなことが新聞ざたになった三人の子供たちにはその大金を何処に隠したかが大問題。またあわてて施設にやって来た。

彼女は「この大金を譲渡可能な社債の小さな束にして埋めた」と言い。子供「何処にに埋めた」母親「忘れた、、、」。そしてタイタスには「大統領の温室に」、サミュエルにはボストンの薬剤師が書いた頭痛薬の「処方箋」の下に書き込まれた文章を彼一人に見せ、リリーには博物館に展示されている「イルカの腹の中に」とそれとなく伝えた、、、。

あわてて三人が出て行った後、このやりとりをそっと聞いていたメンバーたちがなだれ込んできて「なぜお金のありか教えてしまったの?」。サヴェッジは「みんな嘘。人は5ドルだったら動かないけれど、1000万ドルなら絶対飛んで行く」ときっぱり。

数日後の夕刊を開くと「上院議員、ホワイト・ハウスの温室で、FBIに捕まる」。「ボストンの判事、煙突の下敷きに」。「女盗賊、博物館に潜入、警官に噛みつく、、、」。

また施設の戻って来たタイタスは泥だけの姿。サミュエルは煙突の下を掘って怪我、腕は釣って、リりーは指を包帯でぐるぐる巻き。

空振りに終わってかんかんの三人は、母親に「お金は何処にあるのよー」。その表情は今や“守銭奴”になっていた。

             

ついに大金のあるところをみんなに見せる時が来た。それは何とサヴェッジが抱いていたクマさんの胴体の中だった。彼女が社債の束をテーブルに落とすと三人が争って掴もうとした時ミセス・パディが、部屋の電灯を一瞬早く消してしまい、真っ暗。室内は怒鳴り合う兄妹の声、声、声。

数分後二階のバスタブから紙を燃やした煙と匂いが、みんなのいる部屋に立ち込めて来た。さてはー!

小気味良い、腹の底から笑える喜劇だ。なりふりかまわず大金を自分の物にしょうとする三兄妹、それを興味しんしん
に覗き、引っかき回す施設のユーモラスなメンバー、純粋にメモリアル基金を創設しようとするミセス・サヴェジ。笑いの中に何か教えくれるものが沢山ありそうだ。