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MOTHER
君わらひたまふことなかれ
劇場
劇団
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公演日
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紀伊國屋ホール  

青年座   

M・O・P  

マキノノゾミ  

宮田慶子   

キムラ緑子、山路和弘、綱島郷太郎、奥田達士、川上英四郎、  
田島俊弥、遠藤好、那須佐代子、大家仁志、田中耕二、永滝元太郎  

11月30日まで  

03-3467-0439  

マキノノゾミ三部作「フユヒコ」「赤シャツ」「MOTHER」を紀伊國屋ホールで一ヶ月にわたって上演したが、今回の「MOTHER」は三部作の最後で、締めくくりに明治から昭和まで短歌、小説、評論などで全国を席巻した与謝野晶子の奮闘記を、笑いをこらえて観てもらおうと言う趣向。舞台には若かりし頃の北原白秋、石川啄木、大杉栄、平塚らいてう、佐藤春夫らが続々登場する。

              

明治42年1月。千駄ヶ谷にある与謝野家は、正月早々から神田の駿河台へ引っ越すので、家の中は荷物で足の踏み場もない。

引っ越し業者なんていないから運び出すのは、石川啄木、北原白秋、新人の門弟で学生の佐藤春夫らが慣れない手つきでうんこらしょ。

だが白秋は軽いものしか手を付けない。あげくに恩人でもある与謝野鉄幹(山路和弘)のことを「もう鉄幹は古い!」とみんなに悪口をいうものだから門弟の平野萬里(田島達士)は頭に来て、喧嘩を始めた。

そこへ鉄幹と晶子(キムラ緑子)が帰ってくるが、晶子はぶんむくれ。鉄幹「いつまで意地を張っているんだ!」晶子「あんたとは一生口をききたくない!」。

なんでこう絶縁状態になったかというと、、、。晶子が額縁の裏に貯めていたヘソクリの50円を鉄幹が持ち出し、パアーッと使ってしまった。このお金は出産(晶子は生涯11人の子供を産んだ)費用だったのだ。

だが、このお金は後で分かるが、白秋が詩集の処女出版「邪宗門」を出すため、実家から200円出してもらい豪華な装丁にするため50円が必要で、鉄幹が用立ててやったのだがそれとは知らない晶子は、怒っていたのだ。

この頃から警察の目が厳しくなり、よく与謝野家を訪れていた菅野須賀子(那須佐代子)を始め、左翼運動に関わった者24人も検挙されてしまった。

また引っ越した明治44年の6月。梅雨で洗濯物が干せず部屋の中は満艦飾。子供も7人にもなったから与謝野家は大変。鉄幹は仕事の依頼もなく家でブラブラ。それに引替え晶子には仕事でてんてこ舞い。「婦唱夫随」?なのだ。

久しぶりに須賀子がやって来た。でも彼女には足がない。そうです処刑され幽霊になって訪れたのでした。その姿は晶子に見えても他の人には見えないが、幸徳秋水とはあの世でうまくやっているそうな。

そんな時、腹をすかした大杉栄(大家仁志)がやって来てようやくご飯にありつくが、自説は曲げずここの食客となった。また平塚明子(らいてう)が女の自立を目指す、女性が作る雑誌“青鞜”を発刊するから晶子に巻頭の辞を書いてくれと頼みに来た。

ますます売れない鉄幹は落ち込み、晶子は日が昇るような勢い。これでは家庭内がうまくいくはずはない。見かねた晶子は原稿料の前借りをして、鉄幹をフランスへ送りだしてやった。

              

鉄幹が遊学中の与謝野家。晶子がど派手な振り袖姿で登場。なんでも鉄幹から「フランスへ来い」と言われたので着物を作って着ていくんだという。

応接間には石川啄木、佐藤春夫、平野萬里、大杉栄も来ていたが、顔は傷だらけ、洋服はずたずたの北原白秋が樽酒を担いで現れた。このありさまは白秋が人妻といい仲になったが、その亭主にぶんなぐられ、姦通罪で告訴するとまで言われたとか。

あんなこんなで晶子の渡欧を祝って全員で乾杯!賑やかな祝の席に無粋な刑事・蕪木(田中耕二)、安土(永滝元太郎)が突然入って来た。彼らは左翼狩りの刑事で以前から大杉栄らをマークしていたのだ。

そんな刑事の古株、蕪木が「石川啄木が死んだ」と告げる。さっきまでニコニコしながら酒杯を揚げていたのに、、、。

鉄幹と晶子は、帰国後も仲が悪い、二人とも風邪を引いて部屋で寝ていたが、遠慮という言葉を知らない大杉栄が、この部屋へ飛び込んで来て、二人を見てビックリ、、、。

なんといっても与謝野晶子役を演じるキムラ緑子のバイタリティーに圧倒される。これに対して鉄幹役の山路和弘が、割烹着、姉さん被りで、おしめを干す姿はなんとも気の毒。尻に敷かれた亭主は、もう明治時代から始まっていたのか!

我が身を振り返って、どきっとする今の亭主たちがたくさんいるかも知れない。ほかの共演者のしどころもたっぷりで、共感を呼ぶ。副題の「君わらひたまふことなかれ」が生き生きいている。

三部作の連続公演に踏み切った青年座とM.O.Pが芝居の楽しさを披露してくれた。高く評価したい。

写真中央が与謝野晶子役のキムラ緑子