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ミュージカル 

南十字星

四季劇場〔秋〕

四季  

企画
構成

浅利慶太   

作曲

三木たかし  

阿久津陽一郎、樋口麻美、田代隆秀、鈴木周、池田英治、武見龍磨、  
内田圭、藤川和彦、山中由貴、吉賀陶馬ワイス、都築香弥子、維田修二、ほか

8月3日まで 

03-5776-6730 (9:30ー6:00日・祝休)   

左 阿久津陽一郎 右 樋口麻美  

撮影:上原タカシ  

劇団四季は今年創立55周年を記念して「昭和の歴史三部作」を上演、この前の無謀で悲惨な戦争が、国民の脳裏から少ずつ消えていく昨今、次世代の人のためにも戦争は、絶対に繰り返してはならないと劇団総力を揚げて取り組んできた。

いま公演中の「南十字星」は、戦後BC級戦犯としてインドネシアの地で処刑された若い陸軍将校とインドネシアの女性との成就できなかったラブロマンスを通して戦争による悲劇を訴えている。

              

幕が開くとここはインドネシアののどかな田園風景が広がり、観客は南国へ行ったような気持ちになる。ところがインドネシアは長い間オランダの植民地でその圧政に苦しんでいた。

一転して太平洋戦争が始まる前夜の京都が舞台。主人公の保科勲(阿久津陽一郎)は京大法科の学生で、インドネシアからの留学生、リナ・ニングラット(樋口麻美)とは親しい間柄だった。

そのままいけば二人は結婚していただろうに、、、。時代は悪い方に進んでいた。リナは祖国が風雲急を告げているのでやむをえず、帰国することになった。そしていつの日にか名曲「ブンガワン・ソロ」を歌おうと約束した。

日本は前から日中戦争が続いていたが、昭和16年12月8日には米、英、オランダと全面戦争に突入、勲は陸軍少尉として姉・春子(都築香弥子)の夫、原田大尉(鈴木周)と恋人のリナがいるインドネシアへ出征して行った。

開戦3ヶ月で、日本軍は在インドネシアのオランダ軍を撃退した。その時リナの父、ニングラット博士(武見龍磨)がオランダ軍に捕えられていたのを助け出す戦闘で保科は負傷、ニングラット邸へ運び込まれたが、そこで恋人のリナと再会した。

日本軍はインドネシアをオランダから解放させ、司令官、島村中将(田代隆秀)は、学校を建設、水田を耕せたり穏和な軍政を引いたので日・イの関係は良く、火祭りの宵、勲とリナは南十字星を見上げながら永遠の愛を誓うのだった。

だが戦局は悪化、日本軍は現地民に食料供出、労役の強要を強いる。リナの兄・ルアット(内田圭)は「これではオランダがやってきたのと同じではないか、、、」と勲に食い下がる。

一方、捕虜収容所にいるオランダ人たちは、食料不足や虐待でその不満を勲にぶつけ、名前と顔を彼らに覚えられてしまった。それが誤解だったが、あとで尾を曳くことになろうとは、、、。

そして日本は敗戦。インドネシアの独立を目指すルアットらの独立義勇軍が勲のもとへやって来て「武器、弾薬を譲れ」と言うが、終戦協定があるので渡せない。

そこへ原田が現れ、武器を義勇軍に渡し、自分も義勇軍に参加するといい、もし連合軍から呼び出しがあれば、自分の身替りに出頭するようにと義弟に厳命した。

             

連合軍によるBC級戦犯の裁判が始まる。BC級裁判とは、捕虜虐待、一般国民に対する非人道的行為を行った者の裁判で、正確な事実も分からぬ無実の人まで含め900人を越す日本人軍人らが死刑になった。

             

勲は捕虜虐待、終戦協定違反の罪に問われ、満足な弁護を与えられず、義兄の原田の罪まで被ってリナの祈りもむなしく絞首刑の判決が下った。

勲の処刑の時間が迫ってきた。リナはどうしても勲に会いたいと収監されている監獄に忍び込んで再会「指切りげんまん」をして「未来は一緒に、、、」と涙ながらに語り合うのだった。

誰もいない一三階段を昇って行く勲、、何をおもって“死の階段”上がって行ったのだろうか、、、。リナが歌う「ブンガワン・ソロ」。見上げれば夜空に「南十字星」が輝いていた、、、。

もしあのような戦争がなかったらと思う時、二度と戦争は繰り返してはならないし、この物語を後々まで“かたりべ”として伝えていく意義のある作品だ。

保科勲役の阿久津陽一郎は「保科が現代に託したメッセージを一人でも多くの方々にお伝えできるように精一杯演じたいと思っています」と言っている。