


東京芸術劇場(小ホール2)
文学座
サタケミキオ
高瀬久男
小林勝也、渡辺徹、中村彰男、高橋克明、亀田佳明、
金沢映子、奥山美代子、頼経明子、松岡依都美、ほか
12月10日まで
03-3351-7265
(日、祝休)

左 渡辺徹 右小林勝也
撮影:飯田研紀
ゆでだこになって湯船から上がり、フルーツ牛乳かコーヒー牛乳をグビリ。あの爽快感、至福の時、、、。銭湯の思い出は数々あるに違いない。
庶民に親しまれてきた銭湯数は昭和40年代前半をピークに、各家庭で内風呂を持つようになってから減少し、平成17年の全国銭湯数は5200余、東京都内では1000軒を切ってしまった。
今回の「口紅」は、現代の銭湯物語。作者は「東京セレソンデラックス」の主宰者・サタケミキオに文学座が依頼し、書き下ろした初の作品だ。
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都内にある銭湯「紅の湯」が開店した。客は“夜の花”・パンパン(街娼)嬢や近所のお兄さんらで満員盛況。とはいってもこれは昭和20年代の「紅の湯」のアーカイブス。
場面が変わると現在の「紅の湯」。客はいなくガラーンとしている。主人は小さい頃から見込まれて「紅の湯」の主人になった信田陸夫(小林勝也)、同居していて手伝いをしている娘の桜庭陽子(奥山美代子)、勤め人の夫・千春(中村彰男)、陽子の娘で大学生の遙(吉野実紗)。それに従業員の雄介(亀田佳明)。
陽子は実情を見かねて廃業したらいいと言い、5千万円で買ってくれるからと父親にやいのやいの強談判。ところがこの銭湯に未練がある陸夫はウンと言わない。
開店して第1号の客はデブッチョでなにやら曰わくありげな花田鉄(渡辺徹)と派手な服装のキャバレー嬢・あきな(松岡依都美)のカップル。案の定ただの客ではなく、「紅の湯」の譲渡を持ちかけてきた。
ところが鉄と千春とは同級生で、住む場所がない鉄とあきなは、紅の湯の二階に居候することになった。そんなところへヤクザの小山内あきらが、あきなを連れ戻しに来る。彼女にはだいぶ入り組んだ事情があるのだ。
また時代は昭和20年代にタイムスリップ。陸夫は客のパンパンに真っ赤な口紅をもらったことが有り、そんな思い出から銭湯の名前を「紅の湯」と付けた。
仲がいいと思われた鉄とあきなだったが、なんとあきなは鉄を見限り、さっさとあきらと出て行ってしまい。鉄はここで住み込みの従業員になってしまった。
陸夫は美容師の牧田綾乃(金沢映子)に惚れ込んだが彼女の面影が、少年時代に口紅をくれたパンパンそっくりだったこともあった。
それやこれで綾乃にのぼせた陸夫が病に倒れ、あわや天国へ一歩行く所だったが奇跡的に回復、陸夫のニッポン一の銭湯を作るという夢ははたしてどうなるのだろうか、、、。
かつて家庭にフロがない時代みんなが洗面器に手拭い、石鹸を入れ銭湯ののれんをくぐった。市民の社交場でもあり、おじいちゃんのうなる浪花節が懐かしい。
寂れてしまった銭湯に踏ん張る老人と撤退を勧める若者たちの綱引きにあわよくば譲渡から金を巻き上げようと企む詐欺師の三者三様の思惑が絡む喜劇ドラマで、憎めない詐欺師・花田鉄役の渡辺徹、日本一の銭湯を目指す律儀な紅の湯の主人・信田陸夫役・小林勝也が、現代銭湯物語を楽しく創ってくれた。
〜rouge〜
13〜14日 ピッコロシアター大ホール 18日 カメリアホール