井上ひさし  

栗山民也   

5月24日まで  

左から木場勝己、阿部力、愛華みれ、久保酎吉、

ホリプロ 03−3490−4949 

こまつ座 03−3862−5941  

劇場

銀河劇場    

“反戦”を描いた大がかりな物語を舞台に掛けた作品は、これまで多数の劇団が取り組んできた。それはそれなりに反響を呼んだ。

今回のこまつ座とホリプロ公演の「きらめく星座」は、浅草のレコード屋一家が、忌まわしい戦争にあれよあれよという間に引き込まれていくさまを生のピアノ演奏と喜劇仕立てで描いていくが、笑いの後にじわっとno more warが浮かび上がってくる。

日本人の4分の3はもう戦争を知らない人たちが占める時代になったが、一般市民までにも覆い被さった第二次世界大戦の悲惨さの序曲を10年ぶりに上演している。

             

時は1940(昭和15年)の11月3日明治節(いまの文化の日)、所は浅草のオデオン堂というレコード店。

この店は主人の小笠原信吉(久保酎吉)と歌手上がりで年若い後妻のふじ(愛華みれ)、長男正一(阿部力)、長女の女学生・みさを(前田亜季)、それに間借り人の竹田慶介(木場勝己)、森本忠夫(後藤浩明)が暮らしていた。

ところがその頃には日本は日中戦争に突入していて日ごとに物資は少なくなり、レコード屋なのにジャズなどの洋ものは規制され、レコード屋も整理統合のうわさが立ちだし戦時色が強くなりだした。

あげくに砲兵隊に入隊していた長男の正一が、軍隊から脱走したのだ。正一は音に敏感な性質で、砲弾の発射音に絶えられず脱走したが、これを見逃す陸軍ではない。

彼を追って憲兵伍長のマムシと呼ばれる権藤三郎(八十田勇一)が執ように正一を追いかけオデオン堂にやって来て家宅捜索をする。近所からも“国賊”の家と相手にされなくなってしまった。

そうかと思えば長女のみさを(前田亜季)は、兄と正反対の愛国者で、傷痍軍人との結婚を希望し、600通の手紙の中から、戦地で片腕を失った源次郎(相島一之)と結婚した。

とたんに新聞は、みさおの結婚をほめそやし、今度はオデオン堂は世間の注目の的になった。この一家は嬉しいにつけ哀しいにつけ歌を歌うのが大好き。間借り人の森本がピアノを弾き、もう一人の間借り人でいまでいうコピーライターの竹田も一緒になり当時の流行歌の合唱がはじまる。ただ源次郎だけはジャズなんてとんでもないと渋い顔。

そして源次郎は神棚にご真影を飾りだした。「マムシ」の追求を危機一髪で逃れた正一は、神戸ー上海の定期船の賄い夫になりすまし、ばりっとした服装で、実家に土産を持って顔を出す時もあった。

またどういう風の吹き回しか、マムシの権藤がすき焼きの材料を持って来て間借り人になってしまった。

             

時代は悪い方へ、悪い方へ、まるで坂を転がり落ちるように戦時色が強くなり、ついにオデオン堂は強制取り壊しになっていく。元歌手のふじに町会長が、会合のたびに歌をねだったがそれを断ったために取り壊しになったと誠しやかに流布されるしまつ。

また竹田は、教え子らの子供がいる満州へ教師として旅立つことが決まった。そして日米開戦の前日、近所の若者二人が出征するので、是非「青空」を歌ってくれとふじに頼み込みに来るのだが、、、。

この作品は10年ぶりの再演だが、秀作なので前から上演を熱望されていた。戦争がもしなかったら浅草でレコード屋を続けられていた小笠原家の家族だったのに、「砂で作った城」みたいに大きな波が来ればあっという間に壊されてしまう。

これからも二度と戦争があってはならない。そしてみんなそろって「青空」が歌える時代が続きますように、、、。出演者のチームワークの良さと愛華みれの歌唱力も楽しみにしてもらいたい。

きらめく星座

撮影:渡部孝弘

出演

愛華みれ、阿部力、久保酎吉、前田亜季、相島一之、
木場勝己、八十田勇一、後藤浩明、ほか

劇団

こまつ座 &
ホリプロ公演  

5月29、30日 シベールアリーナ(山形)、6月6、7日 シアター・ドラマシティ(大阪)