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風のつめたき櫻かな

―久保田万太郎作品集より―

サザンシアター

文学座   

平田オリザ  

戌井市郎  

川辺久造、加藤武、坂口芳貞、坂部文昭、清水幹生、田村勝彦、外山誠二、  
本山可久子、八木昌子、新橋耐子、富沢亜古、山谷典子、佐藤麻衣子、ほか

6月1日まで 

03-3351-7265  

左から外山誠二、本山可久子、加藤武、田村勝彦  

撮影:飯田研紀  

四川省に大地震が起きたばかりだが、関東大地震でめちゃめちゃになった東京・銀座の復興をテーマにした「銀座復興」
(作・水上滝太郎)を、文学座の創立者の一人でもある久保田万太郎が、戯曲として昭和19年に発表、終戦の二ヶ月後には、早くも尾上菊五郎一座が、帝劇(ここは空爆に遭わず残った)で上演したという。

今回の作品は、201X年早春、直下型大地震に見舞われた東京下町の「宵町銀座商店街」の商店主らがどう立ち上がっていくか、万太郎の俳句を随所に織り交ぜながら、文学座、ベテラン俳優の競演で、ニューモアいっぱいの復興劇を観てもらおうという趣向だ。

              

舞台は大地震に襲われた「宵町銀座商店街」で営業をしている喫茶店「ライン」。この店は幸運にも他の店はやられたがここだけは全壊をまぬかれ、地震後20日あまり経ったが水道はまだ出ないが、なんとか営業を続けている。

避難所暮らしの人、家族を亡くした人ら商店街のお馴染みさんが一息つきにやって来る。いまは集会所みたいな役目もしているのだ。

「喫茶店ライン」の主人は棚橋誠一(田村勝彦)、妻・弘子(八木昌子)、それに店員・藤倉真由美(佐藤麻衣子)が、客の相手をいている。

ここの常連客をみると乾物屋・新藤秀作(川辺久造)、床屋(商店会長)・青木浩二郎(坂部文昭)、金物屋(清水幹生)、電気屋・森本孝明(大滝寛)らで、コーヒーを飲みに次々とやって来ていた。

ここで話題のナンバー・ワンは、毎年やっている商店街の「花見」だ。地震で崩壊した後だから「それどころではない」という者「こういう災害を乗り越え、元気を付けるために是非やろう」と言う人たちで賑やかだ。

そんなところへ文房具屋の隠居・(加藤武)と妻・みつ(本山可久子)も顔を出す。この御隠居、俳句が大好きで、久保田万太郎の俳句を引用してみんなを煙に巻く。

喫茶店主の棚橋は、軽食用の材料を買い出しに行きふうふういいながら戻って来て「花見」の話しに割り込む。

また初めての客で謎の人・(坂口芳貞)がふらりと現れ、話しの様子を聞きながら「崩れさったものは元通りにはならないが、新しいものを創り出す事は出来るでしょう」と注文のゆで卵をぱくつきながら一言。どやらこの男は阪神大震災の体験者らしい。

それから数日間の話し。新藤秀作の息子が家を飛出していたが、戻ってきてゴメンナサイ。店員・真由美とパン屋の若旦那・笹岡和義(細貝弘二)とのちょっとしたラブ.

ボランティア・井上由紀(山谷典子)の慣れぬ事にもめげず、精一杯の奉仕活動。ギターを弾いて元気づける小学校の先生・三本杉康明・(外山誠二)らも「ライン」に集まってくる。

それぞれ被災者たちは「明日からどうしよう」という不安を抱えているが、きっと乗り越えていくに違いない。そして商店街の人たちが楽しみにしている“花見”も、、、。

観ていて文学座の俳優陣の厚さを知る舞台だ。これほど老、壮、青のバランスがとれた劇団は他にあっただろうか。地震国日本。明日貴方の町が地震に襲われたらどうしますか?

この作品から多くのアドバイスや励ましを貰えるだろう。
6月4日 北上氏文化交流センター、6日長岡リリックホール、11〜12日 可児市文化創造センター(岐阜県)