人は三途の河を渡っていったら本当にもうそれっきりなのだろうか?愛する人の姿を見ることや、せめて故人との対話ぐらいはなんとか出来る方法はないのか、、、。病気をして気が弱くなったときには一層こんな思いにかられはしないか?
都会の小さなマンションに住むサラリーマンの高梨典彦(田中正彦)は、会社の定期検診を受け、軽い胃潰瘍だったが、彼はこれがガンだと思い込んで、妻の佳代子(磯辺万沙子)が「ガンではない」と言っても聞き入れず。会社に一ヶ月の休暇届けを出してしまった、、、。
昼間76歳になる典彦の父・真司(西本裕行)は、32年前に妻の道代(一柳みる)が亡くなり、一人で暮らしている。その彼が典彦の家にやって来る。
続いて大学生でアパートを借りている息子の正人(鎌田翔平)、同居している娘・麻美(上領幸子)も帰宅、休暇中の典彦と家族全員が揃った。
なぜ普段の日に集まったかと言うと、佳代子が“ガン”と頑固に言い張る典彦をみんなで説得して、軽い“胃潰瘍”だと納得させ、元気にさせようとしたのだ。
だが、典彦はガンで「余命いくばくもない!」と思い込んでいるから、家族の説得もはね除けてしまう。そこへ掛かり付けの医者・吉野均(山口嘉三)も現れ、聞き入れない典彦に「高梨さん!もう手遅れだからこの世とお別れだ」と最後通告をした。
これはウソでなんとかリラックスして平常心を取り戻してやりたいという温情からのこと。家族会議も不発に終わった。
それからの典彦はこれで最後とばかり、街の若い女のところへいって関係を結んだが、これがいけない。今度は“エイズ”にかかってしまった、、、。気も動転、典彦はさらに落ち込んでしまった。検査をしたらその疑いはなかったのだが、これは内緒。
雷が鳴って梅雨が開けた。“先”がないと思っている典彦はこれまでやったことがないボランチアに参加する約束をする。それに“自叙伝”の出筆に取り掛かったがうまく進まない。
そこへ若くして亡くなった懐かしい真司の妻・道代(一柳みる)が現れる。典彦には和服姿の道代がはっきり判り、話しもするが他の人には、透明人間。父親が来て話しをしている最中に、道代の会話が入るので真司はドギマギ。
正人ももどって来て「麻美がラブホテルにいるのを友達が見つけた!」と言うものだから、母親の佳代子も「そんなあー、どうしよう」。
高梨家はガタガタ。そこへ麻美が帰宅「好きな人とラブホテルへ行くのがなぜ悪い!」おじいちゃんは「好きな人とならいいじゃないか」
吉野先生は吉報を持って来た。「高梨さんのエイズ検査は陰性です!」一同ヤレヤレ。
この家族に河向こうから亡くなった人のささやきが届くのだろか、、、。みなさんも耳に手を当てると故人の声が聞こえるかも知れない。
アフタートークで「故人と話すことが出来るかしら」と西本裕行、一柳みるさんに質問したら「河向こうの人を強く想っていればきっと届くでしょう」と言っていた。
演劇企画JOKO
劇団昴
あうるすぽっと
田中正彦、磯辺万沙子、上領幸子、鎌田翔平、
一柳みる、山口嘉三、西本裕行
03-6907-9220
昴
山田太一
村田元史
11月8日まで