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サザンシアター  

民藝  

ふたくちつよし    

中島裕一郎  

披岸喜美子、簑浦康子、戸谷友、白石珠江、飯野美穂子、
石巻美香、中地美佐子、西川明、塩田泰久、平松敬綱、ほか

2月1日まで   

044-987-7711  

月〜土 10時〜18時  

左から飯野美穂子、中地美佐子、簑浦康子、戸谷友、白石珠江   

女性の方へ。貴女は病気で入院したことがありますか?経験者は入院中に女性用の病室で一緒になった患者たちとどんな話をして過ごしただろうか?何!入ったことがないですって、それなら人気作家のふたくちつよしが書き下ろしたこの作品は、もし貴女が入院したらきっと参考になりますよ。

               

ここは地方都市の公立病院。四人用の病室。長く入院している患者もいれば、短い人も。今日は退院者がいて内科病棟のこの四人部屋も、10年前に夫に先立たれた主婦の梅田みち(戸谷友)と女子大生・幸田かおり(飯野美穂子)だけ。

彼女は息子の和男(塩田泰久)がいるが、「仕事が忙しい」とかでなかなか見舞いにも来てくれない。時間はたっぷりあるので、近々生まれる初孫のために靴下をせっせと編んで、その数30足にもなった。悔しいことに他のものは編めないのだ。

静かな時間はさほどない。かおりはイヤホーンを耳に付け歌を歌い始め、看護師の大沢由美(藤田麻衣子/藤巻るも)は、3年ぶりには入ってきた新米看護師の坪井清(平松敬綱)に先輩風を吹かして、平気で坪井に文句を付ける。

次に入院してきたのは、前島好子(白石珠江)。一緒に彼女の亭主・則夫(西川明)もついて来た。この男えらく腰が低く、好子のご機嫌取りにきゅきゅうとしている。

なぜかと言うと彼は外に女がいて、実母の危篤の時も間に合わず(熱海に女と旅行中だった)、好子が差配して乗り切ったこともあってそれがバレ、以後好子には頭が上がらないのだ。

その次は主婦・柳沢絹代(簑浦康子)。彼女はこれで4回目の入院。真っ赤なネグリジェから帽子、スリッパまですべて赤づくめ、“赤色”が身体に良いと信じきっているのだ。舞台写真参照。

これに同室ではないが、別の病棟で長く療養していてみちとも仲良しな増田文子(披岸喜美子)も酸素ボンベを乗せたガラガラを引っ張って元気?に割り込んでくる。

夜になると好子と絹代のいびきがすさまじい。二人が交互に音程の違った高音の連続いびきなので、みちもかおりも寝られたものではない。それが朝になると「ああ、昨日は良く寝られた!」とケロリ。これには二人ともげんなり。

                 

ここで気がつくのは患者がなんの病名で入院しているのかは一切触れていない。客の想像にまかせているのだ。それにこの病院の目の前に火葬場があって、ここから旅立って逝った人は、煙となって天国へ昇っていくのだ。

さて、それから病室にかおりの母親・橋本園子(中地美佐子)が見舞いにくる。ところがかおりは園子の顔を見るや「何でここへきたの!」と顔色を変える。

「あなたは男をつくって出ていった!」と噛みつく。でも園子の話では、父親は出張とごまかし、女の所へ行っていたそれから夫婦仲がこじれて、園子も家族をおいて別の男と一緒になったとか。これでは子供はたまらない。

久しぶりにみちの一人息子・和男(塩田泰久)が顔を出す。「なんで見舞いに来ないのよ」「忙しくて、、、」「そんなはずはないー」とこちらは母子喧嘩が勃発。孫のためにせっせと編んでいた小さな30足の靴下を和男目がけて投げつけた、、、。

それからは浮気亭主の則夫は、毎日せっせと頭を下げながら好子詣で。やがてだんだん気心が分かるにつれて病室は和やかな雰囲気が出だしたが。あの酸素ボンベにチューブを付けた文子は、顔を見せなくなったが、それは火葬場の煙が立ちのぼる日だった、、、。

ふたくちつよしの人間洞察が、暖かく伝わってきて後味の良い作品になっている。それに演者の病室の“牢名主”?梅田みちの戸谷友が牽引役を努め、女房の好子に浮気をとっちめられ、おたつく夫の則夫役、西川明が好演だ。

霞晴れたら