目次
出演
劇場
劇団
演出
海霧

三越   

民芸  

原作

原田康子  

丹野郁弓  

脚本

小池倫代   

樫山文枝、伊藤孝雄、中地美佐子、桜井明美、みやざこ夏穂、斎籐尊史、境賢一、大越弥生、ほか          

12月20日まで  

左から 中地美佐子、伊藤孝雄、樫山文枝  

撮影:石川純  

昭和30年代始め「挽歌」を出版。大ベストセラー作家になった原田康子の原作。「海霧」は北海道の大地に生きた女性三代の物語。平成14年には吉川英治文学賞を受賞した作品で、演出は北海道生まれの小池倫代。明治初年の活気溢れる釧路で、女性たちはどんな人生を歩んだのだろうか。そしてその子孫たちは、、、。

              

明治8年、北海道の釧路港にはるばる佐賀から新天地を求めてやって来た若夫婦が降り立った。名前は平出幸吉(伊藤孝雄)と妻・さよ(樫山文枝)。

釧路は沖で暖流と寒流がぶつかり「海霧」が発生、気温も低く日中でも車がヘッドライトを点けて走ることがままあるが、明治の始めに鉄道もなく、内地とは蒸気船が頼り。

だが良港なので海産物の集荷、雑穀の積み出しで全国から人が集まり街は活気に満ちていた。ここで幸吉はさよと穀物の店を開き、時代に乗ったこともあって店も拡大していった。

この夫婦には二人の子をもうけたが女の子だった。長女のリツ(中地美佐子)は、男優りで米俵は担ぐは、馬を乗りこなすはで、普通の男では太刀打ちはかなわない。

一方次女のルイ(桜井明美)は、姉と反対に親思いで良家の子女といったところだ。彼女らが大きくなったころ幸吉・さよの心配事はリツに聟を取らせて「平出商店」を盤石にさせたかったのだ。

その頃この焦点に出雲出身の男・神部修二郎(みやざこ夏穂)が入って来た。この男は仕事もやりてなので、幸吉のメガネにかない修二郎をリツの夫として跡継ぎにした。

ところが前におとなしく律儀な手代・入江勇作(神敏将)が好きだったリツは、修二郎とはそりが会わず形だけの夫婦で、生まれた子供も他界した。

それからしばらく経って修二郎の弟・啓三郎(齊籐尊史)が兄を頼ってやって来る。夫婦仲の悪い修二郎とリツだったがようやく千鶴(中地美佐子)が生まれた。だが身体を酷使してきたのだろうかリツは千鶴を生んで亡くなってしまった。

一方次女のルイは啓三郎と所帯をもつことになったが、さよは家庭内のいざこざや商売のことで気苦労が絶えなかった。

そして修二郎の再婚、幸吉は別の女と関係を持ち、幸吉の死去、リツの忘れ形見・千鶴の大学入学、平出商店の破産、関東大震災、、、と、さよは激動の明治、大正、昭和をまるで肝っ玉母さんみたいに平出一族を見守り、励ましていくのだった。

長編小説「海霧」を短時間の上演時間に仕上げるはたいへん難しい。要所をきちっと押さえ、観客の心を時空を超えて新天地北海道に誘い、ここに生きた人の喜び、嘆き、苦しみを良く舞台化していた。

この劇の束ね役・樫山文枝が見事で、長女・リツの一本気な荒くれ女を中地美佐子が熱演。これにアイヌのモンヌカル・境賢一、女中・浜野たきの演技が忘れがたい。

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