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博士の愛した数式

シアターサンモール  

青年劇場   

小川洋子  

脚本

福山啓子  

井上昭子、森山司、伊藤かおる、湯本弘美、蒔田祐子

2月22日まで  

03-3352-6922  

左から森山司、蒔田祐子、湯本弘美  

撮影:蔵原輝人 (C) 

貴方は数学が好きですか?と聞かれたら圧倒的にノンと答える人が多いだろう。ところが、新宿御苑前のシアターサンモールで、劇団青年劇場が、上演している「博士の愛した数式」を観ているといつの間にか数学が大好きになるかも知れな
い。

亭主に逃げられて家政婦をしている女(湯本弘美)と小学4年生の息子(蒔田祐子)はアパート暮らしだ。となりの部屋の面倒見が良い吉田さん(伊藤かおる)に仕事の口利きまで世話になっている。

女はヘビースモーカーがたたって仕事がクビになり、今度は数学博士(森山司)の家に勤め出した。博士は17年前、交通事故に遭い、頭をやられそれからは、記憶が80分しかもたない。

だから大事な用件は、いつもメモ帳に書き留め、それを自分の背広に貼り付け用を足す変わった人だ。それに起きている間は数学の事ばかり考えている。

博士は数学以外には無頓着だが、ここの家の離れには「義理の姉さん」と呼ばれる足の悪い夫人(井上昭子)がいて、いつもやってきた家政婦のあら探しをして、気に入らない家政婦は派遣所に告げ口をされ、すぐクビにさせられてしまう。

となりの吉田さんもその一人で、一週間でいやになり辞めてしまう働きづらい家だが、母子家庭の女はそんなことは言っていられない生活のために博士の家に通い出した。

彼女が博士の家に慣れたころ息子がやってくる。彼は数学が大の苦手、数学の宿題を明日持っていかなければならないとき、博士が優しく興味を持つように指導する。

この教え方が上手く、こんなに数学が面白かったのか−。もしこんな先生がいたらきっと数学が好きになっただろうと思わずうなってしまった。

博士と息子の交流が深まり、この二人は大の阪神タイガースフアン。といっても博士の記憶は17年前の江夏や吉田などでそれ以降の阪神のことは分からないが、、、。

ある日博士と息子、それに女まで加わりキャッチボールをやったが、博士は風邪を引きダウン。二人は泊まりがけで博士の看護をしたものの、いじわる夫人がこれを見つけ“就業規則違反”だと通報されクビになってしまった。

そのころから博士の記憶時間がだんだん短くなった。暫くぶりで博士の家を訪ねた息子は、もうそこには博士がいず施設へ入ってしまったことを夫人から告げられた。

ただ、息子には新品のグローブが博士から誕生日の贈り物として彼の来るのを待っていたのだった。

数学博士と母子の心暖まる交流物語で、今年青年劇場は創立45周年になるが、記念の年にふさわしい演目だ。

なお今年の青年劇場は、4月に「ばんさんかい」、6月「菜の花ラプソディ」、7月「キューリーXキューリー」(仮題)、9月「結に吹く風」(仮題)を予定している。