劇場 サザンシアター  
     
 劇団   文学座

  作   ディヴィット・マメット  

  訳   江守徹

  演出  江守徹
  
  出演  清水幹生、押切英希、外山誠二、坂部文昭、
           田中明生、藤川三郎、石橋徹郎


  公演日  3月11日まで          03-3351-7265    

アメリカでもまだパソコンや携帯が登場してこない時代。不動産会社のセールスマンが、“アメリカン・ドリーム”を必死になって追い求め、ある者は勝者になってキャデラックを貰い、ある者は挫折してこの世界から去っていく競争の世界をクローズアップしたシビアな物語だ。 かつて文学座は1988年に初演したが、今回は江守徹の訳・演出、出演者も新しい顔ぶれで、どんな不動産屋を演じてくれるか、、、。

                      

とある街の中華料理店の一室。この部屋で不動産会社のセールスマン・レヴィーン(清水幹生)と同じ会社で働く営業責任者・ウイリアムソン(押切英希)が向いあっている。

この会社のボードには、毎月売り上げ高をグラフにして社内に張り出し、セールスマンを競争させている。営業成績が抜群の者には、ボーナスとしてキャデラックがもらえるが、ノルマを達成できないセールスマンは、消えていかざるをえない厳しい掟が待っていた。

レーヴィンは前は腕の良いセールスマンだったが、いまは他のセールスマンに追い抜かれ、落ち目になってしまった。セールスマンの生命線は質の良いタマ(顧客名簿)を持つことだ。そこで彼はウイリアムソンからなんとか“タマ”を手に入れようと必死で食い下がった。

一方、同店の別の部屋には、同じ会社の遣り手セールスマンのモス(外山誠二)と年配で気の弱いアーロナウ(坂部文昭)が話込んでいる。モスは会社の経営方針と反りが合わず、アーロナウを味方につけ大事なタマを盗む計画を漏らす。

さらに他の部屋では若手のセールスマンのローマ(田中明生)が、客のリンク(藤川三郎)に、おいしい物件を買わせようとあの手この手で籠絡させようと躍起になる、、、。

翌日の朝、社員が出勤して事務所に入るなりビックリ。事務机はひっくり返り、書類は床に散らばり大事な顧客名簿や契約書、あげくに電話機、タイプライターまで盗まれていた。社員はなぜこんな事になったかさっぱり分からない

警察からはベイレン刑事(石橋徹郎)がやって来て、一人づつ事情聴取がはじまった。捜査が進むつれて誰がタマを盗んだのか、なぜ事務所をメチャメチャにしたのか、だんだん分かってきた、、、。

名声、カネ、ポジションを得ようとするセールスマンの死闘が、これでもかと演じられ、“成功”のためにはなりふり構わぬ姿に息を飲むおもいだ。文学座のベテラン俳優の力演は見事で、登場人物になりきって観客の心をとりこにしているようだった。

グレンギャリー・グレンロス

左から田中明生、清水幹生、外山誠二  

撮影:飯田研紀