目次
演出
作
劇団
出演
劇場
解脱衣楓累
前進座   

前進座

鶴屋南北  

改訂

小池章太郎  

中橋耕史  

嵐圭史、津田恵一、藤川也之輔、山崎辰三郎、姉川新之輔、 
瀬川菊之丞、河原崎國太郎、、松涛喜八郎、嵐広也、ほか  

10月20日まで 

浅草公会堂 22日から25日まで

問い合わせ

0422-49-2811

左 矢之輔 右 國太郎

撮影:渡辺文雄  

今回上演している通し狂言「解脱衣楓累(げだつのきぬもみじがさね」は江戸後期の文化9年(1812)に、鶴屋南北が市村座用に書いたそうだが、なぜか一度も上演されたことがなかった「幻の名作」で、前進座が24年前にこれを発見172年ぶりに初演した。

初演からヒロインは六代目嵐芳三郎が演じたが、今年は彼の十三回忌にあたり、その息子の河原崎國太郎が、お吉と累の二役を演じている。

              

鎌倉燈明寺の修行僧・空月(圭史)は元は武士だった。僧侶なのにお吉(國太郎)と恋いに落ちた。空月は破戒の罪を悔いて、常陸の国へ行こうとするが、お吉が追いかけて懐妊していることを告げる。

添い遂げられないお吉は思いつめて家宝の短刀で自害しようとすると空月はそれを止めたが、誤ってお吉を殺してしまった。

ここまでくれば生きてはいられないと空月は、お吉の首をかき切り心中しようとした。折からの雷雨、落雷で心変わりをしてその場にお吉の遺体を残し遁走した。

切り首からは白い蝶が舞い上がり、空月にまつわりついて離れない。かたわらの辻堂で雨宿りをしていた古鉄買いの羽生屋助七(広也)が、この惨状をじっと見つめていた、、、。

場面は変わって下総の羽生村から江戸見物に来たお吉の妹・累(かさね)(國太郎)は、百姓与右衛門(矢之輔)の女房で宿引きの勘次(渡会)と茶見世へやってくる。

ここで働く小三(喜五郎)は勘次の仲立ちで、呉服屋の番頭磯兵衛(津田)に身請けされながらも彼を嫌って駆け落ちして、いまではお吉の弟・浪人の金谷金五郎(菊之丞)の女房になっている。

ここで誤って勘次を刺した金五郎と小三は、勘次を蓮池に投げ入れ蓄電してしまった。そんな折り通りかかった空月は、死んだお吉そっくりの累を見て口説いたが、ふられてしまう。その時空月の荷物から短刀が落ち、累の足に突き刺さってしまった。

ここは下総飯沼の草庵。住職になって間もない空月。ここへやって来たのは小三と金五郎、赤子を抱いていた。この子は、空月に殺されたお吉から生まれた子で、空月はそのことは知らない。

空月は空月で、お吉の生首を厨子の中に入れて持ち歩いていた、、、。

これからは与右衛門の家が舞台。次から次へと悪玉、善玉が入り乱れて色と欲、仇討に亡霊が登場、南北独特な身の毛がよだつ場面が続く。

國太郎は父親・芳三郎の十三回忌に、お吉、累の二役を務めているが、重責を果たし、さぞ泉下の芳三郎も目を細めているだろう。破戒僧・空月の圭史は、前進座の牽引車ですごみのある坊主をやらせたら天下一品。

また劇団が一つとなって現代の人にも歌舞伎を堪能させる意気込みが彷彿させ、この劇団ならではの素晴らしい舞台に仕上げている。浅草公会堂でも上演されるから、次世代の前進座を背負う役者の精進ぶりを観てやってほしい。