
アルフレッド・ウーリー
丹野郁弓

左 奈良岡朋子、右仲代達矢
撮影:石川純


東京芸術劇場(中)
民藝+無名塾
教師だったユダヤ人の女とこの家に雇われた黒人運転手の25年に渡る交流を描いた「ドライビング・ミス・ディジー」は4年前に初演されてから北は北海道から南は鹿児島まで日本各地を巡業、絶賛されたが今月の東京芸術劇場公演をもってファイナルになる。
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時は1948年、「風と共に去りぬ」の舞台になったアメリカのアトランタ。ここに住む72歳のユダヤ人のディジー(奈良岡朋子)は学校の教師をしていたが、いまは引退して悠々自適の生活を送っていた。
ところが年をとり運動神経が鈍って来て自宅からマイカーを出そうとしたがガシャーン、事故ってしまった。これを見た近所に住む息子のブーリー(千葉茂則、長森雅人、ダブルキャスト)は、母親の運転は無理だからと考え運転手を雇う事になった。
ディジーの家に来たのは、ディジーより10歳ほど若い黒人の運転手・ホーク(仲代達矢)だった。いまでは黒人の大統領が選ばれる時代だが、当時のアメリカ南部は人種差別が続き、彼女も黒人は大嫌いだった。
失業中のホークは週給20ドルでディジーの家のお抱え運転手になったが、黒人とはそりが合わない彼女はいやみたらたらホークに当たり散らす。
だが車社会のアメリカでは、教会へ行くのも買い物さえ車がなければその日が暮らせない。それでもディジーは目をつむって教会へ行くためにホークが運転する車に乗ることなったが、道順でもいちいち口を挟み、わがままを通そうとする。
それでも日が経つうちにディジーの偏見も薄らぎ自ら車へ乗ろうと意欲も出て来た。ある日アトランタにも雪が降り大きな屋敷に一人で住むディジーは、心細くなっているとホークが雪をかき分け、彼女を励ましにやって来た。
ある時ディジーはホークに「私の親友へ」という本をプレゼントするが、ホークは字が読めない。そこで彼女は元教師の見せ所、彼に本が読めるよう訓練をしていくのだった。
それから月日が経って元気印だったディジーは、90歳になるころボケが進行してついに養老院に入る事になり、ホークも年老いて車の運転はできなくなってしまった。
でも二人の友情は途切れることはなくホークは、養老院にいるディジーのもとへせっせと通うのだった。
なんと爽やかやハートフルな気持ちになる芝居だろう。人は老い、やがて旅立っていくのだが、奈良岡のディジー、仲代のホークは、人間の終末を暖かく見守ってくれているようだ。
孤独で一人悶々としている人には是非とも勧めたい素晴らしい作品だ。
3月22日まで
044-987-7711
月〜土 10〜18時