世界中の子供たちに親しまれ、愛されてきた童話作家、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの青年時代、彼の代表的な童話4話(親指姫、みにくいアヒルの子、人魚姫、はだかの王様)を劇中に取り入れたミュージカル「アンデルセン」を5年ぶりに四季劇場〔秋〕で上演している。次世代を背負う俳優たちの熱演が頼もしい。

              

ここは1830年代、デンマーク第三の都市オーデンセ。この街で靴屋を営むハンスは商売そっちのけで、自分がつくった童話を子供たちに語って聞かせていた。

物語の面白さとハンスの語りが上手いので、すっかりとりこになった子供たちは、学校へ行くのを忘れるほどなので、校長(維田修二)はカンカン。

町長(川地啓友)に「私が街を出ていくか、ハンスが出て行くかどちらだ」と直談判。ついにハンスは弟子のペーター(有賀光一)と大都会のコペンハーゲンへ向かった。

コペンハーゲンに着いたハンスは、靴の商いを始めたが、ここでふとしたことからプリマ・バレリーナ・マダム・ドーロ(斉藤美絵子ー私が観た日ー)の美しさに心を奪われてしまった。

ドーロはこれまで履いていたバレーシューズが合わず「足に合わないシューズでは踊れない」とヘソを曲げて、稽古は中断していたのだ。

ドーロには振り付け兼主演ダンサーの夫・ニールス(松島勇気)がいることにのぼせたハンスは気づかない。ハンスは、彼女のためにバレーシューズをつくることを約束した。

またドーロとニールスの痴話喧嘩を見たハンスは「ドーロがいじめられていると思い込んで、、、」彼女を助けるために「人魚姫」をいそいで書き上げ渡してやった。だがこの二人は旅公演に出発してしまった。

             

ハンスはコペンハーゲンでも子供たちの人気者。話を聞きに来ている子供の中で、みんなにいじめられているラース(大徳朋子)がいた。ラースは病気で頭のてっぺんが刈り取られ、カッパみたいなってしまているので冷やかし、いじめをくらっていたのだ。

ここでハンスは「みにくいアヒルの子」を熱を入れて語ってやった。これまでいじけた性格だったラースは、ハンスの語りですっかり元気を取り戻し、みるみる明るい性格の少年になった。

ドーロが旅公演から帰るのを首を長くして待っていたこの間、彼は十二足のシューズを作り、ドーロへの想いを深くしている時、ラースの父親で、モーニング・ニューズの編集長をしているホルム(維田修二)が来て「みにくいアヒルの子」を、新聞に書いてほしいと頼みに来た。

そして旅から帰って来たドーロとニールスが訪ねて来てバレーにした「人魚姫」のかたりべとして舞台に出てほしいと要請し、ハンスはこれを快諾、舞台を務めることになった。舞台は大成功のうちに幕が下りた。

この成功がハンスのこれからの進む世界を決定的なものにした。「人魚姫」では、劇団四季としてはめずらしいクラッシックバレーを劇中でふんだんに見せる。これも見ものの一つだろう。

故郷のオーデンセに戻ったハンスを、子供たちからあの憎たらしい校長までが出迎え、いまやこの街の英雄にもなったのだ。

かつて子供たちに童話を話していたが、戻って語りだしたのは、あの名作「はだかの王様」でその途中で、国王の使者として来たのが、ハンスが惚れ込んだマダム・ロードで“物語の王様”の称号を授けにきたのだった、、、。

劇中コペンハーゲンの街をバックにした“動”のジャズダンス、クラシックバレーの“静”の踊りもきめ細かく織り込んでいるのも雰囲気を良く醸し出している。

主役のハンス役・佐野正幸は「純粋なハンスの愛が伝わり、心あたたまるアンデルセンの世界を、お客さんに観てもらえれよう大切に演じていきたいと思います」と語ってくれた。

劇団

四季  

作曲

撮影:下坂敦俊  

03-5776-6730 日祝休み 

5月30日まで  

MUSICAL
制作

浅利慶太  

アンデルセン

劇場
四季劇場〔秋〕
出演

佐野正幸、味方隆司、斉藤美絵子、酒井はな、西田ゆりあ、大橋里砂、松島勇気、
加藤敬二、岩崎晋也、有賀光一、高橋徹、維田修二、川地啓友、岡崎克哉、ほか、

作詞

フランク・レッサー

アンデルセンの佐野正幸(中央)