

赤坂ACTシアター
TBS/TBSラジオ/松竹
勘三郎、扇雀、彌十郎、亀蔵、
段治郎、勘太郎、七之助、井之上隆志、ほか
9月20日まで
サンライズプロモーション


今年3月に赤坂サカスにオープンした赤坂ACTシアターに「赤坂大歌舞伎」と銘うった中村勘三郎主演の歌舞伎が上演され、若い年齢層のフアンが連日詰めかけている。
勘三郎と言えば、これまで平成中村座を立ち上げ、ニューヨークやベルリンなど外国でも上演し、伝統の枠を越えた新しい歌舞伎に挑戦してきたが、ACTシアターではどんな反響があるか、、、。
一幕目は「江戸みやげ狐狸狐狸ばなし」(北條秀司作・演出)、二幕目は「棒しばり」(岡村柿紅作)。二本ともポピュラーな出し物で、ユーモアと笑いがたっぷり。初めて歌舞伎を観た人は「歌舞伎は難しい」と思っていたら、「面白くて良く分かった」と話してくれた。
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一、「江戸みやげ 狐狸狐狸ばなし」
吉原(遊郭があった所)近くの長屋に住む伊之助(勘三郎)は、もとは上方の女方役者だった。いまは江戸へ下って手拭屋を営んでいる。
女房のおきわ(扇雀)は、千住の宿場女郎だったが、伊之助に身請けされ女房となった。ところで伊之助は女方だっただけに炊事、洗濯はお手のもの。おきわが朝起きてみるとちゃんと朝ご飯が出来ているという女房孝行だが、伊之助は夜の睦言が大好き人間で一晩もおきわを離さない。
おきわは女郎あがりだから、その道は熟練者だが、伊之助にしつこく蛇のように絡まれ、嫌気がさしそのうさばらしに、近所の焔魔堂の住職・法印重善(段治郎)に惚れ込んで、不義密通を重ねていた。
今日も昼間から酒をあおっていると長屋のかみさんたちが「重善が浮気をしているのを知らないか、、、」とケチをつけられた。
頭に来たおきわはもと狂言作者で伊之助の同郷でもある雇い人・又市(彌十郎)に調べさせに行かせようとすると、重善がふらりと現れた。
カンカンになったおきわが、浮気のことをしつこく重善に問い正すと、相手は千住の山権という裕福な家の娘・おそめ(亀蔵)と言い、男の身体をべろべろなめ回す癖があって「牛娘」と言われ、何人も聟をとっても嫌がられ逃げ出された女だ。
そんなおそめが重善を追いかけてきて抱きつくを見て、おきわは包丁を振り回しながら牛娘を追い払った。そしておきわは、重善に「一緒になってくれ、、、」と言い寄る。
プレイボーイ・重善はおきわに「伊之助を殺したら夫婦になってやる」。おきわは前後の見境もなく夫殺しに目が充血してきた。
次の日の話。伊之助は家の事はすべてやり、フグ鍋に酒を用意しておきわを待っていた。先に手拭いの染め薬を、又市に買わせに行かせたが、その薬は毒薬なので置き場所をきちんとしておくようと言われたのをおきわは見ていたが、何か思うところがあったらしい。
せっかく自分のために作ってくれたフグ鍋に、又市が買ってきた毒薬を鍋に入れ、おきわはそれを伊之助に食べさせてしまった。
毒が回った伊之助は、苦しんで死んでしまった?伊之助の読経はもちろん破戒坊主の重善。おきわはこれで約束通り重善と一緒になれるとほくそえんだ。
でも証拠は早く消した方が良いとばかりに又市と寺男の甚平(井之上隆志)に手伝わせて、伊之助の遺体を千住の焼き場へ急いで運ばせた。
伊之助の遺体を処分したおきわと重善は、江戸を離れて上方へづらかろうと相談しているといつの間にか死に装束の伊之助が二人の後を追いかけていった。
翌日の朝、やっかい者の伊之助を亡き者にし、祝杯をあげた二人だっが、そこへ又市がやって来て「旦那から朝ご飯が出来たから帰って来るよう」とおきわに言いに来た。そんなばかな−。さらに伊之助がにこにことしながらおきわを迎えに来た。おきわと重善は真っ青になって身体は震えっぱなし。
その日の午後、おきわは伊之助の元気な姿を見て「生き返ったのか、幽霊か、、、」と言うと伊之助は「殺されても死なない。お前の身体を抱きしめるのだ−」。これを聞いた淫婦・おきわはついに失神してしまった。
気がついたおきわは更にもう一度伊之助を殺そうとするが、はたして、、、。
二、「棒しばり」
歌舞伎の踊りにもこんなにコミカルな出し物があるとは、初めて見る人はビックリするにちがいない。
領主の曽根松兵衛(亀蔵)は、用事があって館を留守にしなければならない。家来の太郎冠者(七之助)と次郎冠者(勘太郎)に留守を頼もうとしたが、この二人は大の酒好き。
そこで酒蔵の酒を飲まれないようにグッドアイディアが浮かんだ。それはまず太郎冠者を呼んで、次郎冠者を縛っておきたいというが、太郎は「次郎はおとなしく縛られている男ではない」。
「次郎は棒術が上手いので、おだてて棒術を披露させているうちに、隙をみて縛ったらいい」と進言した。そこで松平衛はこの策に乗って次郎に棒術を披露させ、手を棒に縛りつけてしまう。
これを見て大笑いした太郎を松平衛は、彼の手を後ろ手に縛り上げてしまった。この二人の姿を見た松平衛は、安心して所用に出かけた。
日頃この二人は酒蔵から酒を失敬していたのが、ばれていてこれを警戒して松平衛が手を縛ってしまったのだ。身体が不自由になった二人だが、なんとかして酒が飲みたい。
そこで次郎は棒の先の縛られた手を使い、太郎は後ろに縛られた手を利用してお互いに酒壺から酒を汲み出す事にまんまと成功。良い気持ちになって不自由の身体で、連れ舞までする始末。
帰ってきた松兵衛が見たものは、へべれけで上機嫌の次郎と太郎だった。起った彼は二人を捕まえようとするが、、、。
勘太郎、七之助若さ溢れる踊りは、見ていて笑いがこぼれる。これからもこの二人が折りに触れ踊ってくれるだろう。
初めてACTシアターの歌舞伎公演だが、勘三郎が若い客を引きつける術をたっぷり見せてくれ、これからの歌舞伎フアンの増加に寄与していた。
主催者のTBSも来年もぜひ勘三郎さんに「赤坂大歌舞伎」をやってもらいたいですねと言っていた。
「赤坂大歌舞伎」を上演している赤坂ACTシアター